写真 : 名古屋市市政資料館 [ 旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎 ] 外観
[ 重要文化財 ( 1984.5.21 ) ] ( 名古屋市 東区 2015. March )
[ カメラデータ : デジタル一眼レフカメラ ≪ CANON ≫ ]
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■ 保存・修理工事の概要
昭和60年12月から平成元年6月にかけて行われた工事の内容は、大きく分けて二つに分類されます。
一つは、重要文化財の保存修理工事であり、もう一つは、市政資料館としての利用に伴う工事です。
保存修理工事は、この建物を保存していくうえにおいて必要な構造補強工事と、大正11年創建当時の姿に復原するための修理工事でした。
構造補強工事の主なものとしては、地震に対して強度を増すために、3階煉瓦頂部にH型鋼を廻し、中央階段室背面煉瓦壁などには、
垂直・水平・斜め方向に鉄筋を入れエポキシ樹脂を注入し壁自体の強度を高めました。
階段室外部の東・西露台にはヴォールト天井を支え小屋組の崩壊を防ぐための控壁を新設しました。中央階段室2階の独立煉瓦造柱には、
柱の内部に鋼管を入れて耐震補強を行いました。また、木造小屋組には重ね梁や継ぎ手のボルトで補強しました。
復原修理工事としては、昭和34年の伊勢湾台風により大きな被害を受け銅板葺きに
変えられていた屋根を、創建当時の天然スレート葺きに復原し、中央塔屋の銅板はすべて葺き替えを行いました。
外観については、建物西側入口の庇、窓回りの復原、北側別館との渡り廊下・東中庭の渡り廊下の一部を復原し、
タイル・人造石塗り・石貼り・磨き煉瓦などの修理を行いました。
重要文化財の内装指定を受けている会議室については、天井・壁の漆喰塗り、腰壁の羽目板、シャンデリアを修理するとともに、
天井・壁の貼紙、じゅうたん、カーテン設備を復原しました。また、中央階段室は天井・壁の漆喰塗り、腰回り・床のリグノイド塗、天井・壁の
ステンドグラスをそれぞれ修理するとともに、鉄製手摺格子、階段室回りの柱上部のマーブル塗りを復原しました。
そのほか、後に増築された室を撤去し、煉瓦壁・鉄筋コンクリート造り床の亀裂には樹脂注入などによる補修を行い、
雷・火災などの災害に備え、避雷設備および自動火災報知設備を設置しました。
市政資料館として利用するための工事は、大規模な改造を避けながらも、その用途にあわせ内装工事を行うとともに空調設備・電気設備の改修、
屋内消火栓設備・エレベーター設備の新設などを行いました。
1階は、資料保管の場としての書庫及び収蔵庫と、館運営のための電気室、機械室を整備しました。
この階には、留置場2室と便所1室も復原されています。
2階は、名古屋市の公文書館として閲覧室、ビデオ・マイクロリーダー室、資料整理室などを配置するとともに、市民利用施設としての
集会室や喫茶室、その他事務室、警備員室、資料研究室などを整備しました。
3階は、常設展示室及び市民利用施設としての展示室を整備しました。
常設展示室には、重要文化財旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎としての建物に関する展示、公文書・行政資料などを用いた
名古屋市の誕生から平成に至るまでの一世紀余にわたる市政に関する展示のほか、この建物が裁判所であったことから
司法に関する展示を行っています。
また、室内の調度品、創建当時の室名板などを復原し、腰の羽目板などは修理して再使用しています。
保存修理工事は、国(文化庁)から国宝重要文化財等保存整備費補助金を、県から愛知県文化財保存事業費補助金の交付を受けて実施しました。
また、市政資料館としての利用工事に要する経費は市費で整備を行いました。
注)名古屋市市政資料館 年報 第21号(平成24年度)からの抜粋
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posted by kawaguchi at 08:26|
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