写真 : 室生山 悉地院 ( むろうさん しっちいん ) ≪ 真言宗 室生寺派 大本山 室生寺 ≫ [ 五重塔 ]
[ 国宝 : 1951 ( 昭和26 ).06.09 ]
( 2016. January 奈良県 宇陀市 )
[ カメラデータ : デジタル一眼レフカメラ ≪ CANON ≫ ]
※ 写真は、RAW現像。
多くの写真家に愛され続けている女人高野 室生寺。
その中でも日本を代表する写真家の一人である土門拳 ( どもんけん ) さんが、室生寺に魅了されたことは写真界では有名な話です。
1939年(昭和14年)、美術史家の水澤澄夫(みずさわすみお)さんの案内で初めて室生寺を訪れて以来、何度も通われました。
1946年(昭和21年)の初夏、当時の住職であった荒木良仙 老師と語り合ったときのこと、 『 老師は長年ここに住んでおられて、
春夏秋冬のうち、いつの室生寺が一番美しいと思われますか 』 と聞かれた折、『 梅の室生寺、桜の室生寺、青葉の室生寺、
石楠花の室生寺、もみじの室生寺、冬枯れの室生寺、みなそれぞれ美しいと申し上げるより他はないが、強いてわしの好みをいえば、
全山白皚々 ( ぜんざんはくがいがい ) たる雪の室生寺が第一等であると思う。ただ残念なことは、雪が降ったときはお寺を訪れる者が
ひとりもいない 』 と答えられたそうです。
以後、東京に住む土門拳さんは、何とかして雪の室生寺を撮りたいと思われましたが、現在のように天気予報などの情報が発達して
いたわけでもないので撮るにいたりません。
1960年(昭和35年)50歳で軽い脳梗塞になり半身不随、さらに9年後に再び倒れられ、車椅子での撮影活動を余儀なくされても、
雪の室生寺への熱い思いは消えることはありませんでした。
1978年(昭和53年)の2月中旬から奈良県の病院で待機していましたが、3月になっても雪は降らず、病院を出られ室生寺門前の
定宿である橋本屋さんに身を移されました。そして諦めて宿を引き払おうと思っていた3月12日早朝、室生寺に雪が降りました。
室生寺に出会ってから実に40年目で初めて雪の室生寺 ( 雪の五重塔全景 ) を撮影することができたそうです。
まさに生涯を通して室生寺を愛し、執念が実を結んだ作品です。
参考 : ・小学館ウイークリーブック 週刊 古寺をゆく 入江泰吉 土門拳 仏の魂を撮る
・小学館ウイークリーブック 週刊 古寺を巡る 室生寺
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posted by kawaguchi at 19:52|
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奈良県 宇陀市 ( 室生寺 )
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